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東洋ストウファー・ケミカル発足
東ソー・ファインケムは1965年、東洋曹達工業(現・東ソー)と米国のストウファー・ケミカルとの折半出資によって東洋ストウファー・ ケミカルとして発足しました。創業の目的はDCP(第二リン酸カルシウム)の国産化でした。
1962年、東洋曹達工業は世界初の塩酸法による湿式リン酸プラントを完工し、リン酸事業に進出しました。そうしたなかで、得られたリン酸を原料とした歯磨き用研磨剤であるDCPの国産化を計画しました。そこでDCP世界シェアの80%を占めていたストウファー・ケミカルと手を組み、ほぼ全量を輸入に依存していたDCPの国産化に乗り出しました。1966年には年産8,000トン能力のDCP工場が完成し、本格生産を開始しました。予想を上回るペースで輸入品代替が進んだことに加え、ペースト状歯磨き粉の普及によってDCPの需要は順調に拡大しました。その甲斐あって、1974年には工場を増設し、生産能力を合計30,000トンに引き上げました。
重合触媒への参入
一方1967年には、同じくストウファー・ケミカルからの技術導入によって三塩化チタニウムの製造設備を建設しました。三塩化チタニウムは主にポリプロピレンの重合用触媒として用いられ、年々需要が高まっていきました。その後、1968年、1971年、1976年 と3回の増 設を経て、年産200トンから1,000トンへと生産能力を増強しました。
さらに1969年には、ストウファー・ケミカル系列の米国テキサス・アルキルズからの技術導入によりアルキルアルミニウムの事業化に取り組みました。当初は年産1,200トンのA工場でアルキルアルミニウムを製造していましたが、 需要拡大に伴い1970年に2,400トンへと生産能力を増強しました。1973年には年産3,000トンのA-2工場が完成し、このときTEAL(トリエチルアルミニウム)やTIBAL(トリイソブチルアルミニウム)が製品ラインナップに加わ りました。
三塩化チタニウムやアルキルアルミニウムは、 ポリオレフィンや合成ゴム製造時の重合触媒として用いられます。これらは高度経済成長の波に乗り、石油化学の発展とともに需要が拡大していきました。さらに1980年代からは、次世代の重合触媒であるメタロセン触媒の台頭を受け、その原料となるMAO(メチルアルミノキサン)の自社開発を進めました。2001年には重合活性が高い当社独自のMMAO(修飾メチルアルミノキサン)の製造設備を立ち上げ、販売を開始しました。
こうして発展したDCPと重合触媒は、当社の売上を長年にわたって支えました。
拡大する有機金属化合物
1980年代からは、有機金属化合物を重合触媒以外の分野へ展開しました。1982年には EGMA(電子材料用高純度有機金属)設備が完成し、TMI(トリメチルインジウム)などを太陽電池や半導体、LED向けに販売しました。さらに1983年にはマルチパーパス触媒プラントが、1986年には有機リチウム化合物合成設備と超低温有機合成設備からなるPプラントが完成しました。ここでは主に、重合触媒の試作や有機金属試薬を用いた医農薬中間体の受託生産を行いました。
2006年には、主に太陽電池の透明導電膜用途で用いられるDEZ(ジエチル亜鉛)の生産を開始しました。さらにDEZの応用研究も進め、 ユーザーがより簡便にDEZを利用できるよう技術検討を行いました。
東ソー・アクゾ、 そして東ソー・ファインケムに
1987年、親会社のストウファー・ケミカル がオランダのアクゾ(現・アクゾノーベル)に買収されたことを機に、1989年には社名を東 ソー・アクゾに変更しました。さらに、2000 年には東ソーとアクゾノーベルとの間で合弁事業の見直しが行われ、東ソー・アクゾは東ソー100%子会社として再編され、社名も現在の東ソー・ファインケムとなりました。
その一方、DCPは1980年代前半をピークに売上が低迷しました。特に2000年代にはフッ素含有歯磨き粉の普及により事業環境はさらに悪化し、2009年に事業撤退となりました。これを機に東ソー・ファインケムは有機金属事業へ注力し、以後は有機金属化合物の専門メーカーとして発展してきました。
長年培ってきた有機金属化合物の取り扱い技術を生かし、MAOを中心とする高付加価値製品を世界に提供しています。